2012年10月26日金曜日

ぜいたくな悩み・・・風刺広告にハイチの市民起用され話題に

 
「洗濯機の中に服を入れたままにしておくとにおってくる」と話す少女

(CNN) 「ミント味のガムをかむと氷水が冷たすぎていやだ」「携帯電話の充電コードがベッドに届かなくていやだ」――先進国の人々がツイッターに書き込んだ「ぜいたくな悩み」を、貧困国の住民らが無表情で暗唱する。米NGO(非営利組織)が流す60秒間の広告ビデオが、インターネット上で大きな話題を呼んでいる。

このビデオは、途上国の飲料水確保に取り組む「WATERisLife(WiL)」が、活動への支援を呼びかける目的で公開した。先進国のぜいたくな悩みを意味する「FirstWorldProblems」のハッシュタグ付きで投稿されたツイートを、西半球で最も貧しい国のひとつであるハイチの住民の口から紹介している。

1人の男性がトタン屋根の小屋の前に立ち、「家が大きすぎて無線ルーターが2つ必要だ」と唱える。「洗濯機の中に服を入れたままにしておくとにおってくる」と話す少女の背後には、川の水で洗濯する女性の姿が見える。コンクリートの階段に座った少年からは「メードに小切手を書こうとしたら苗字を忘れた」というせりふ。それぞれの場面で、言葉と現実のギャップが際立つ。

ビデオの最後には「ぜいたくな悩みは悩みではない」という文字とともに、「きれいな水を必要としている人々へ届けるために寄付を」との呼び掛けが浮かび上がる。


http://www.cnn.co.jp/video/10353.html

すごい痛烈なメッセージ!
賛否両論あると思いますが、私はかなりいけてる広告だと思いました。
水道をひねればきれいな水が安心して飲めるのが当たり前、という 生活を送っている人のほうが、世界では圧倒的に少数派であるという事実を日本で暮らしていると忘れがちです。

電気も水道もないハイチのチビー村に私が滞在できるのは せいぜい4日。持って行った水が尽きると、私の渇きをいやすのはよく煮出したコーヒーかオレンジ、ヤシの実の水だけ。たらい一杯の水で行水をするわけですが、家畜の糞やらも溶けて流れ込む泉の生臭い水だったりします。それだって4歳~12歳のそのうちの子どもらが何キロも歩いて運んだ貴重な水ですから、一滴たりとも無駄にできません。

雨水を溜めて使っているような修道院でも、食器の洗い物に水を流しっぱなしにするなんてありえません。洗い桶2つ分の水で、食器から調理器具まで全部洗います。どうやるかというと一つ目の桶(たいていはシンクに)洗剤を溶かした水を泡立てて、スポンジにつけて食器の汚れを落とすと、次の桶には熱湯を満たし、洗った食器をさっとくぐらせて乾いた布巾でよく拭いて おしまい。最後のほうの食器はお湯も冷めてくるし、洗剤のにおいが残ったりしますが、まあ、仕方ないよねって感じ。結構きれいになっています。

日本に帰ってくると水が使えるだけで、熱い風呂に入れるだけで、涙が出るほどありがたく感じます。風呂の湯を張っていてうっかり溢れさせようものなら、重罪を犯したような気分になります。

このCNNのニュースはこう続きます。

ビデオを制作した広告会社、DDBニューヨークの最高クリエーティブ責任者、マット・イーストウッド氏は「ツイートを書き込んだ人たちの面目をつぶすつも りはない。ただツイッターで不満をつぶやく前に、世界にはもっとはるかに重大な問題があることに思いをはせてほしいだけ」と話す。

動画共有サイトのユーチューブでは1カ月足らずのうちに閲覧回数が170万回を超え、「これまでぜいたくな悩みのツイートを面白がっていたのが申し訳な い」「自分がいかにわがままな甘ったれだったか、どんなに恵まれているかが分かった」といったコメントも書き込まれている。



この広告を作ったNGOのWiLによると、「世界の病気の原因の1位は不衛生な飲み水とされる。世界では水を媒介とした病気で毎日6500人が命を落とす」といいます。

この事実をちゃんと受け止めたいと思う私でも、ハイチでの日々が遠くなると ぜいたくな悩みを抱えがち。「うちの風呂は追い炊き機能がつけられないから、冬場はお湯がすぐ冷めてがっかりする」・・・今度、風呂用の保温シートを買いに行こう。でもそんなものにお金を使えるなんて、やっぱり贅沢?



2012年10月3日水曜日

ハイチでポリ袋禁止!?それって無理じゃない???

2012.10.2 14:55
 カリブ海の島国ハイチで1日、環境に悪影響を与えるとしてポリ袋などの使用が禁止された。ただ同国は中南米の最貧国。ロイター通信などによると、価格が高い代替品を使う動きはなく、町中ではポリ袋が使われ続けており、禁止の実効性を疑問視する声が出ている。
 禁止されたのは、小売店がレジ袋として使う黒色のポリ袋や、庶民が飲食店から食事の持ち帰りに多用する発泡スチロール製容器など。


首都南西のポート・-ソリティ近郊の国道沿い。
雨上がりの朝、寄せ集められたプラスティックのゴミの山。
ハイチはごみ収集システムがほとんど機能していない。水路や川などにこうした腐らない容器が大量にたまって詰まり、大雨の際に川が簡単に氾濫するなどの深刻な影響が出ている。 禁止は政府が8月に発表。10月1日に発効し、3カ月間は処罰されない猶予期間となる。(共同)

 

ターバンのマダムが手にしているのがそのポリ袋


 びっくりなニュースです。ハイチでは安価なポリ袋に入った水がポピュラーで、炎天下、タプタプやバスで移動する人たちが「ドロ(dlo=水)、ドロ、ドロ・・・」と叫ぶ売り子から買い求め、ちゅうちゅう吸って飲み干すと無造作に窓の外に投げ捨てるのが当たり前、市場でも野菜や何かを買うと黒い薄手のポリ袋に何でもいれてくれ、生活にものすごく浸透していました。確かにそれらが引き起こす深刻なゴミ問題は解決しなくてはならないものですが、ただ禁じるだけでは実効性が伴わないでしょう。 日本ではレジ袋をもらうためには5円負担するようにしたら、エコバッグがだいぶ普及しましたよね(うちの父ですら、マイバッグを持ってスーパーに行きます)。インセンティブが働くような仕組みづくりがハイチでも成否のカギを握るように思います。